- 言葉は生きている/
元NHKアナウンサー・鈴木健二 -
百万の言葉を費すよりも、頬に伝わる一滴の涙のほうが、遥かに多くの心情を物語る場合があります。
あらゆる宗教書を読み盡くす以上に、赤ちゃんの微笑は人の気持ちをやさしくしてくれるものです。
そう考えると、一体、言葉とは何であるのかと思ってしまいます。
でも、私達は言葉を必要とするのです。
しかも、一つの秀れた文章、それも名言とか格言、或いはことわざと呼ばれる極めて短い言葉に出会うと、ものの見方や考え方、時には人生の方向まで、瞬間のうちに変化してしまう体験さえ持つのです。
文字や音(おん)のあんなに小さな集まりのどこに、人間を動かしてしまうエネルギーが秘められているのでしょうか。
実に不可思議な力を所有しています。
もちろんその原点は、私達人間の内側にあります。
もしかしたら、「感性」と称される微妙な働きの中に隠されているのかも知れません。つまり、どんなに美しく構成された言葉でも、それを受けとめる人間に、美しいと感ずる心の機能がないと、言葉は単に耳や眼を通過していくだけの作用しかないのです。
心があって、はじめて言葉は話され、書かれ、感性があって受け容れられるのです。
そのために必要なのは、素直さであると思います。最初に批評が立ってしまうと、言葉はそれにはね返されて、決して人の頭脳や情緒に響いてきません。名言も格言もことわざも、それを新しい事実を知った驚きの目で見つめ、さらに長い時間をかけても実践してみようとする努力があって、はじめて才能として花開くのです。
人間を変化させるのは、常に行動です。
ここではじめて言葉は結実します。「知りて行わざれば、知らざるに等し」ですが、その以前に、自分は何も知らない人間なのだと自分を発見し、謙虚に古人が語り、人々が受け継ぎ、感動した言葉を受け入れてみようとする態度が肝心です。
言うまでもなく、そのことを最も痛切に心に刻みつけたのは、他ならぬ私自身なのです。
鈴木健二氏からのご挨拶動画
- 美しい言葉を美しいまま後世に
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日本語を美しい言葉だと思うのは、けっして母国語に対する欲目ばかりとは言えないでしょう。
形容の妙、比喩の巧み、心地よい響き・・・・・。
控えめな表現を旨としながらも心の奥深くへと浸み込む秘めた力をもつ言葉、それが日本語です。美しいものを美しいまま後世に伝えていきたいという願いは、万人共通の思いではないでしょうか。
しかし現実は、残念ながら安易さがまさり、言葉に微妙な乱れが生じていると思えてなりません。
また「故事ことわざ」といった言語文化への関心も薄れてきているようです。そこでこの度、正しい日本語と言葉のおもしろさを再発見するための教材として、「名言・格言・ことわざ検定」を世に問うこととなりました。
- 「名言・格言・ことわざ検定」の趣旨
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日常の言葉づかいの乱れが指摘されるなか、正しい日本語への関心が高まり、文部省、文化庁を中心とした「美しい豊かな言葉」の普及活動への共感が、「名言・格言・ことわざ検定」の契機となりました。
もちろん、古くから言い伝えられた言葉ですから、今となっては一般的ではないもの、意味が伝わりにくいもの等も含まれています。そういった言葉を分かりやすく解説し、日本の言語文化の一端に親しんでもらおうというのが、この「名言・格言・ことわざ検定」の趣旨なのです。
- 俳優藤田まこと氏からの推薦動画
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